コンポストのメリット・デメリット、作り方・使い方まで!ベランダやお庭で簡単・おしゃれに自作の生ゴミ堆肥づくり【農学専門家執筆】

コンポストのメリット・デメリット、作り方・使い方まで!ベランダやお庭で簡単・おしゃれに自作の生ゴミ堆肥づくり【農学専門家執筆】


コンポスト(生ゴミ堆肥)は聞いたことがあるけど、段ボールやバケツで簡単に自作できるの?ゴキブリが出ない…?といった疑問も。コンポストのメリットやデメリット、作り方や使い方のポイントをお伝えします。自作コンポストはDIYとしての楽しみ方もあるかも!?

 

目次

  1. コンポスト(生ゴミ堆肥)とは?
  2. 【バケツ】で自作コンポストの作り方
  3. 【段ボール】で自作コンポストの作り方
  4. 【ペットボトル】で自作コンポストの作り方
  5. 【チャック付きポリ袋(ジップロック等)】で自作コンポストの作り方
  6. コンポストの基本的な使い方
  7. コンポストを上手く活用するコツ!
  8. 他にも不安が…!コンポストのQ&A
  9. まとめ

コンポスト(生ゴミ堆肥)とは?

生ゴミ堆肥

コンポスト(生ゴミ堆肥)とは?

コンポストとは、「堆肥(compost)」や「堆肥をつくる容器(composter)」のことを指し、生ゴミや落ち葉、汚水などの有機物を微生物の働きによって分解・発酵させ堆肥にする仕組みです。その中でも生ゴミを分解・発酵してできた堆肥のことを「生ゴミ堆肥」と呼びます。
有機物を発酵させ堆肥を作り出すこの仕組みは、今から約400年前の江戸時代には既に生活の一部であったと言われており、コンポストは古くから伝承されてきた大切な知恵のひとつです。
(参考:江戸時代から現代につながる人間の営みと肥料の深い関係|JA全農 グリーンレポート2018年2月号

そんなコンポスト(生ゴミ堆肥)は次のようなメリットから、近年再注目されています。

コンポストのメリット

自分・家庭へのメリット

・生ゴミを捨てる手間がなくなる
・生ゴミを捨てるためのビニール袋がいらなくなる
・生ゴミから栄養豊富な堆肥を作ることができる
・自治体によっては、補助を受けることができる

地域・環境へのメリット

・本来捨てるはずだったゴミを再利用できる
・ゴミが減ることで、ゴミの焼却にかかる費用や手間が減る

一方、次のようなデメリットがあると言われています。

コンポストのデメリット

・堆肥となるまで時間がかかる
・悪臭や虫がわく原因になる可能性がある
・定期的に土をかき混ぜたりなど管理の手間がかかる
・家庭菜園などをしていない場合、出来上がった堆肥の活用方法に困る

コンポストには適度な空気、熱、栄養が必要なため、こまめにお手入れをしてあげることが必要です。
少し面倒に感じるかもしれませんが、こういったこまめな手入れをすると生ゴミの分解も進みやすく、お手入れが楽しくなってきますよ♪

 

どうやって生ゴミが堆肥に変わるの?堆肥になる仕組み

生ゴミが堆肥になるには、微生物が有機物を分解し発酵を行います。
発酵には「嫌気性発酵」「好気性発酵」の2種類があり、どちらの発酵方法で分解を進めるかによって、そもそも準備するコンポスターが異なったり、それぞれメリットとデメリットがあります。

嫌気性発酵

嫌気性発酵は、空気のない密閉した状態で促進される発酵です。そのため空気をいれない密閉タイプのコンポスターが必要となります。

好気性発酵に比べ、温度が上がりにくいため熱で死滅する微生物が少なく、栄養価の豊富な堆肥ができるというメリットがあります。またこの発酵では、分解過程でメタンガスと消化液が発生し、この消化液を水で希釈すると液肥として使用することができます。

一方、デメリットとしては、発酵が進むのに時間がかかることや、密閉することの難しさ、発生するメタンガスの異臭などにより、室内や家庭で実施するのにはややハードルが高い点が挙げられます。

好気性発酵

好気性発酵は、空気をたっぷり取り込むことで促進される発酵です。そのため空気を入れる通気性の良いコンポスターが必要となります。
メリットとしては、嫌気性発酵に比べ臭いが発生しにくいことや、発酵がうまく進むと温度が65℃ぐらいまで上がり短期間で発酵が進むことが挙げられます。
一方、定期的に有機物を混ぜたり、水分量を調整するなど、手間が掛かるデメリットもあります。

ご家庭で初めてチャレンジする方には、短期間から始められることや、臭いが気にならないことも加味し、好気性発酵を用いたコンポストがおすすめですよ。

 

生ゴミが堆肥になるまでの過程とは

コンポストを使って、生ゴミを堆肥化するには、大きく分けて2つのステップがあります。

1つめのステップは、生ゴミをコンポストに投下してかき混ぜながら、分解・発酵を進める期間。生ゴミを入れてから、生ゴミの形が見えなくなるまで目安として、夏場で1週間、冬場で2週間ほどかかります(生ゴミの種類によっても分解・発酵の速度が異なるため、記事後半の「分解されやすいもの/されにくいもの」も参考にしてくださいね)。ここである程度までは、分解・発酵が進みますが、生ゴミを投下し続けているため、生ゴミが完全な堆肥にはなりません。

生ゴミを入れ始めて3~6カ月経つと、発酵が遅くなり生ゴミが分解されにくくなりますので、分解されにくくなったら、2つめのステップへ移ります。

2つめのステップは、生ゴミの投下をやめ、完全に分解・発酵させ、堆肥にしていく期間です。一般的には堆肥として使えるくらいまで分解・発酵を進めることを「熟成」と呼び、この期間を熟成期間と呼ぶことが多いです。

1つめのステップから、2つめのステップにうつるタイミングの目安や熟成の方法は、記事後半の「コンポストの基本的な使い方」にてまとめているので参考にしてみてください。

コンポストの種類

コンポストには様々な種類があり、種類によって準備するコンポスター(コンポストのための容器)も変わります。

■コンポストの代表的な種類

 ・設置型コンポスト
・回転式コンポスト
・バケツコンポスト★
・段ボールコンポスト★
・密閉型コンポスト★
・電動生ゴミ処理機
・ミミズコンポスト

※ 「★」マークのついたコンポストは、後ほど自作方法をご紹介します

それぞれ簡単に説明していきます。

設置型コンポスト

庭の土を掘り、コンポスター下の部分を埋めます。上にはふたがついており、生ゴミのほか、庭の落ち葉や雑草なども入れられます。いっぱいになったら、生ゴミの投入をやめ、定期的に空気と触れる用に基材をかき混ぜながら2~3か月熟成させます。

回転式コンポスト

生ゴミや落ち葉などを入れて容器ごと回転させることで、堆肥化に必要な酸素を効率よく供給します。丁寧に扱わないと取っ手などが壊れることもあるので注意が必要です。

バケツコンポスト

バケツに新聞紙を敷き、土と生ゴミを交互に投入してよくかき混ぜ、いっぱいになるまで重ねていきます。
プラスチックの蓋をして密閉すれば嫌気性発酵に、古い布やバスタオルなどで蓋をすれば風が通り好気性発酵になります。好気性発酵の方が、臭いが気にならずご家庭でするにはおすすめです。
そのため本記事では好気性発酵のコンポストの作り方を、次の項目でご説明します。

段ボールコンポスト

ダンボールに資材を入れ、生ゴミを投入してよくかき混ぜるだけ。発酵が遅くなったと感じたら生ゴミの投入をやめ、定期的に基材をかき混ぜながら3週間ほど熟成させます。必要な材料も安価で、作り方が簡単なコンポスターです。ダンボールは庭やベランダに置き、2~6か月ごとの交換が必要です。
とても簡単なこの段ボールコンポストも、次の項目で作り方をご説明します。

密閉型コンポスト

密閉した容器に生ゴミとぼかし(米ぬかや市販の発酵促進剤など)を入れて、ゴミを発酵させます。生ゴミは分解されないので、土に移して1か月ほど分解させる必要があります。嫌気性のタイプであるため強い発酵臭を悪臭と感じる人も多いため、マンションでは注意です。
このタイプのコンポストのお試しサイズとして、次の項目にてペットボトルで簡単に自作できるコンポストをご紹介します。

電動生ゴミ処理機

電気を使って、温風で生ゴミを乾燥させて堆肥化させるものや、自動で回転させ酸素を効率よく供給するタイプなどがあります。室内に設置できて手軽な一方、機材代や電気代がかかり、室内で音がするという問題もあります。

ミミズコンポスト

ミミズと基材を入れた容器に生ゴミを投入し、ミミズが生ゴミを食べて分解してくれるコンポストです。ミミズコンポスト専用の資材なども販売されています。

参考元:https://lfc-compost.jp/about

 

【バケツ】で自作コンポストの作り方

コンポスト用バケツ

ここでは、バケツで簡単につくれるコンポストの作り方をご説明します。

嫌気性発酵でも堆肥化することはできますが、臭いが強くなってしまい、堆肥化に時間もかかってしまうため、今回は好気性発酵のバケツコンポストの作り方をお伝えしています。

必要な準備物

コンポスト準備物

 NO. 準備物 補足
バケツ ・サイズは作りたい堆肥の量によって決めてください
・小型(5~10L)から大型サイズ(20~30L )までホームセンターで購入できます
新聞紙 ・バケツの底に敷き、余分な水分を取り除く効果があります
黒土 ・ホームセンターで購入できます
米ぬか、または市販の発酵促進剤 ・なくても構いません。使うと発酵が促進されます
布(バケツにする蓋が出来るサイズ) ・古いTシャツやバスタオルなどで構いません
・通気性を保ちながら、虫の侵入を防ぎます
ひも、ゴム ・布をとめるために使います
スコップ ・コンポストをかき混ぜるために使います

 

よく出てくる基材とは?

コンポストでよく出てくる「基材」という言葉。この後、具体的なコンポストの作り方でも出てくるのですが、基材とは、生ゴミを堆肥化するために、分解・発酵を促進させる「土」や「発酵促進剤」を混ぜ合わせたもののことで、基材のレシピ(材料や配分)も様々です。

この記事ではわかりやすいように、
主に「黒土」をつかって基材を作り、発酵促進剤(発酵が思うように進まない時に、追加する黒土に追加するもの)として、米ぬかや、市販の発酵促進剤をおすすめしています。

黒土と、米ぬか(または市販の発酵促進剤)の配分も、明確なルールはありませんが、目安として黒土:米ぬか=10:1から始めて見てください。

黒土の状態や、促進剤の種類や状態、またその時の気温や湿度によっても、分解・発酵の進み方は変わってくるので、まずはこれを基準に試しながら、ちょうど良いバランスを見つけてみてくださいね!

ちなみに、黒土以外にも、
・腐葉土
・ピートモス(ミズゴケやスゲなどの植物が堆積して作られた泥炭(ピート)を乾燥させて細かく砕いた物のこと)
・くん炭(もみ殻を炭化させた土壌改良資材)
などを使う方法もありますよ。

作りたいコンポストの完成図

コンポスト完成図

作り方の手順

1.バケツの底に新聞紙を敷きます 

バケツの底に新聞紙

2.基材を5~10cmほど敷きます

コンポスト制作途中

3.500円サイズまで小さくした生ゴミをいれ、さらに基材を加え生ゴミとよく混ぜます

コンポストに生ごみ

4.混ぜた層の上に、さらに基材をかぶせます(乾いた基材で蓋をするようなイメージです)

コンポストに基材を入れる

5.布やネットで蓋をします

コンポストに蓋

 6.手順3〜5を繰り返し、いっぱいになったら生ゴミの投入をやめ、定期的に基材をかき混ぜながら約1カ月熟成させます

 

【段ボール】で自作コンポストの作り方

段ボール

身の回りのもので手軽にできる段ボールコンポスト。大きな段ボールを使えば、6カ月ほど継続してコンポストとして使用することもでき、長期利用にもおすすめです。

必要な準備物

 NO. 準備物 補足
段ボール ・サイズは作りたい堆肥の量によって決めてください
底板用の段ボール、または新聞紙2日分ほど ・段ボールの底に敷き、余分な水分を取り除く効果があります
・段ボールの底抜けを防ぎます
ガムテープ ・段ボールを補強するために使用します
黒土 ・ホームセンターで購入できます
米ぬか、または市販の発酵促進剤 ・なくても構いません。使うと発酵が促進されます
布(バケツに蓋が出来るサイズ) ・古いTシャツやバスタオルなどで構いません
・通気性を保ちながら、虫の侵入を防ぎます
ひも、ゴム ・布をとめるために使います
スコップ ・コンポストをかき混ぜるために使います
すのこ ・風通しをよくするために、段ボールの下に敷きます
・すのこ以外にも、ビール瓶ケースなどでも代用可能です

 

作りたいコンポストの完成図

 段ボールコンポストの完成図

作り方の手順

1.底抜けしないよう、段ボールの底面をガムテープで補強します。段ボールの側面に持ち手の穴があいていれば、ガムテープで塞ぎます
2.段ボールの底に、底板用の段ボール(または2日分ほどの新聞紙)を敷きます
3.その上に、基材をいれます
4.段ボールの蓋を軽く締め、その上から布やバスタオルで段ボールを覆い、ひも(ゴム)でとめます。こうすることで虫の侵入を防ぎます
5.最後に置く場所を決め、段ボール底の風通しがよくなるよう、台(すのこ等)の上に段ボールをおき準備完了!
6.生ゴミを入れる際は、基材に少し穴を掘り、500円サイズまで小さくした生ゴミをいれて基材と混ぜます(掘った土は横によけておきます)
7.横によけておいた土で表面を覆い、蓋をします
8.手順6.7を約2~6カ月繰り返したら生ゴミの投入をやめ、定期的に基材をかき混ぜながら熟成させます

→ 基材についての説明は、「よく出てくる基材とは?」を参考にしてくださいね。

 

【ペットボトル】で自作コンポストの作り方

ペットボトル

液肥も作れてガーデニングなどをしている方におすすめ!嫌気性発酵を使ったペットボトルコンポストの作り方をご紹介。

ペットボトルコンポストには、好気性タイプと嫌気性タイプがあり、どちらでも発酵を進めることができますが、ここで「液肥がとれる」という面白いメリットがあるため、嫌気性発酵を使ったコンポストの作り方をご紹介します。

必要な準備物

 NO. 準備物 補足
2Lペットボトル
米ぬか または 市販の発酵促進剤 このペットボトルコンポストでは、米ぬか、または市販の発酵促進剤が【必須】です。
はさみ
ラップ ・コンポストを密閉させるために使用します
割りばし・菜箸 ・コンポストをかき混ぜるために使用します

※今回ご紹介する嫌気性発酵のコンポストでは、他の好気性発酵のコンポストと違って「黒土」が不要です。

作りたいコンポストの完成図

 ペットボトルコンポストの完成図

作り方の手順

1.ペットボトルの底を切ります
2.切った底を固定用として置き、残りのペットボトルの蓋側を下にして設置します
3.底に密閉用のラップをして完成です
4.使用する際は、生ゴミを500円玉サイズに細かく砕いてペットボトルに入れ、発酵促進剤をその上にいれて割りばしや菜箸などでよく混ぜます。底だけでなく生ゴミの表面部分にもラップを掛けます
5.ペットボトルがいっぱいになるまで手順4を繰り返します
6.ペットボトルがいっぱいになれば、2週間ほど放置し発酵を進めます
7.その後、上述の段ボールコンポストやバケツコンポストに投入するとさらに発酵が早く進み、熟成が完了しますよ。
※ペットボトル内での長期熟成でも可。その場合、米ぬか(発酵促進剤)を定期的にいれ有機物とかき混ぜてください

 

【チャック付きポリ袋(ジップロック等)】で自作コンポストの作り方

チャック付きポリ袋

いきなり大掛かりに始めるのちょっと不安…、まずは手軽にコンポストを試したい!という方におすすめの方法です。透明なチャック付きポリ袋を使えば発酵の経過も見ることができ、面白いですよ。

必要な準備物

 NO. 準備物 補足
チャック付きポリ袋 ・大きめのもの、厚手で丈夫なものが望ましいです
・チャック付きポリ袋では「ジップロック」が有名ですね
黒土 ・ホームセンターで購入できます
(本当にお試しで始めてみたい方は、近所の公園の土などを入れてみても良いと言われています)
米ぬか、または市販の発酵促進剤 ・なくても構いません。使うと発酵が促進されます

 

作りたいコンポストの完成図

チャック付きポリ袋コンポストの完成図

作り方の手順

1.チャック付きポリ袋に基材を入れます
2.基材:生ゴミ=10:1を目安に生ゴミをいれます
  生ゴミを入れる際は、500円玉サイズに細かくして1日程乾燥させた生ゴミをいれてください
3.基材とよくかき混ぜます
4.たっぷりの空気を入れてジップロックを密閉し、できるだけ日のあたる暖かい場所に置きます
5.手順3、4を毎日繰り返します

 ※生ゴミの追加投入は、可能です。入れる際には、① 中身をゆすって混ぜられるほどの余裕を残すこと、② 基材と生ゴミの割合が大きく偏らないことに気をつけて、生ゴミと基材を追加してくださいね。

6.生ゴミの追加投入を止めたら、定期的に基材と生ゴミをかき混ぜながら熟成させます
→ 基材についての説明は、「よく出てくる基材とは?」を参考にしてください

 

コンポストの基本的な使い方

自然栽培

ここまでコンポストの作り方を見てきました。つづいて、使い方について解説していきます。

コンポストの設置場所はどこがいい? 

雨がかからなければどこでも設置可能です。風通しが良くなるよう、壁から5センチ以上離して置いて下さい。日当たりの良いところの方が温度が上がりやすく良いですが、日当たりの悪い場所でも問題ありません。

コンポストの適切な設置温度はどれくらい?

コンポストの中の微生物は20℃~30℃で活動をし始めます。寒いと分解・発酵が止まってしまうので、冬場は屋内に設置し毛布をかけたりして暖かくしましょう。また暑すぎても微生物が死滅してしまうため、夏場の直射日光などには気を付けましょう。

熟成に移るタイミングと、熟成の方法は?

生ゴミを入れ始めて3~6カ月経つと、発酵が遅くなり生ゴミが分解されにくくなります。
分解されにくくなったら、熟成のステップへ移ります。

コンポストにおける熟成とは、生ゴミの形が見えなくなるまで発酵を進めること。そのためには、コンポストへの生ゴミの投入は止め、既に入れている生ゴミの発酵を進める必要があります。また熟成された状態になると、コンポスト内の基材+生ゴミは堆肥として使えるようになります。

コンポスト内で熟成させる場合

1.生ゴミの投入を終了した後も、1週間毎日かき混ぜる
2.その後、1週間に1回程度、適度な水分量になるように水をいれ、かき混ぜる
 (水分量の目安は、土を握った時に団子状になり、2〜3個に割れるくらいの固さが良いと言われています)
 (熟成が進行中の場合、水分を入れるとコンポスト内の温度が20℃~40℃程度まで上昇します)
3.生ゴミの形がなくなり、水を加えても温度の上昇がなければ堆肥の完成です
(夏は1カ月、冬は2カ月程かかるとされています)

畑や庭で熟成させる場合

1.生ゴミの投入を終了した後も、1週間毎日かき混ぜる
2.畑の土に穴を掘り、コンポストの中身(基材)をいれる
3.穴の中で基材と土を混ぜ、1カ月程放置して熟成させる
4.生ゴミの形がなくなれば堆肥の完成です
 (冬は2カ月程度かかることもあります)

 

コンポストを上手く活用するコツ! 

活用のコツ

せっかくコンポストを始めるなら、分解・発酵をぐんぐん進めたいですよね♪
コンポストを上手く活用するために押さえたい3つのポイントをお伝えします!

1.分解・発酵が進みやすい環境をつくろう

水分量

基材を握って塊になるか、ばらけるか、ギリギリの水分量が最適です。
土がべたついたら、基材や米ぬかを加えましょう。土がカラカラに乾燥していたら、少しずつ水を加えて混ぜ水分量を調整してみましょう。

生ゴミは細かくする

生ゴミはできるだけ細かくした方が、分解が早くなります。目安として、500円玉くらいの大きさまで細かくしましょう。

毎日よくかき混ぜる

好気性発酵では生ゴミを分解するために、微生物に空気(酸素)を提供することが必要です。生ゴミを入れない日もよくかき混ぜると分解が促進されますよ。

2.分解されやすいもの/されにくいもの、入れてはいけないものを知ろう

生ゴミの種類によって、コンポストとの相性が大きく異なります。

◯分解されやすいもの
・ごはん
・細かくした野菜、果物
・小麦粉(パン・麺類)
・油分が多いもの(廃食用油、天ぷらかすなど)
 ※ 油分が多いものは一度にたくさん入れると臭いが強くなる可能性があります

△分解されにくいもの
・野菜の皮など硬いもの
・卵の殻
・生米
・魚や肉の骨
・果物の種

✕コンポストに入れてはいけないもの
・割り箸や爪楊枝
・ビニール類
・塩分の強いもの

✓コンポストにたくさん入れると臭いが発生しやすいもの
・魚、肉類
・柑橘系の皮
臭いの原因となりやすいため、「一度に大量に入れない」「土をいつもより多めに被せる」等の工夫をして臭いの発生を防ぎましょう。

※魚や肉(骨以外)は、分解されやすい(微生物が活性化する)食べ物ですが、腐りやすいものでもあります。そのため、量が多すぎると、分解よりも腐りが先行して臭いやすくなります。入れる際には、大量に入れないよう気をつけてください。

※柑橘系の廃棄物が多量に混入するとコンポストは pH4 を下回ることがあり、低いpHになってしまうと微生物の活動が阻害されます。少量であれば臭い対策になる場合もありますので、様子を見ながら少しずつ入れてみてくださいね。
(引用)北九州国際技術協力協会|コンポスト化技術の基本理論ʷ注意すべき項目


✓腐った生ゴミは取り扱いに注意!
腐った生ゴミは分解が上手く進む場合と、上手く進まずにコンポストの中で臭いが強くなったり、虫が発生する場合もあるようです。
投入する際は一口大ぐらいの大きさに切って投入をすることをおすすめします。また、水分量があまりに多すぎても臭いや虫の原因となりますので、1日程度乾燥させてからいれましょう。


ちなみに紛らわしい言葉である、「発酵」と「腐敗」の違いを補足します。発酵も、腐敗も、「有機物が微生物によって分解される」という化学的な表現では同じですが、人間の解釈の仕方で定義が変わるようです。

人間にとって有益なものができる → 発酵(アルコール発酵 等)
人間にとって有害なものができる → 腐敗(有害なガスがでる 等)

そのため、ここでは人間にとって扱いやすいかどうか(腐敗ではなく、発酵されるかどうか)という観点も含めて分類しています。


これらの分類をしっかりと理解しながらコンポストに入れることで、上手く分解・発酵が進むでしょう。
しかし、一度に全ての分類を覚えるのは難しいですよね。
まずは主要なものを覚え、それ以外は都度インターネットで検索をすると気持ちが楽ちんですよ。

3.米ぬかを活用しょう! 

米ぬかとは玄米を精製する際に取り除かれる、玄米の外皮のことです。米ぬかには非常に沢山の栄養分が凝縮されているため、微生物が集まりやすいと言われています。
コンポストに米ぬかを入れると有機物の分解を早める効果があると言われており、コンポストには欠かせないアイテムです。
米ぬかは、お米屋さんやコイン精米所で無料でもらうことができるので、ぜひお近くのお店に足を運んでみてくださいね♪

 

他にも不安が…!コンポストのQ&A

 不安な様子

ゴキブリが来ないようにするためには

コンポストは、きちんと管理していれば、ゴキブリが寄ってくることはありません。万が一、ゴキブリが発生した場合には、生ゴミが分解・発酵されずに腐っている場合や臭いが発生していることが想定されます。
分解・発酵が進むように内容物をよく混ぜ、必要に応じて水分量の調整や、基材や米ぬかを追加しましょう。

ウジ虫や、その他の虫が湧いた場合の対処法

天日干しにする

コンポストの中身を大きなビニール袋に移し、袋を密閉して天日干しにします。
黒いゴミ袋が、袋の中の温度を高めやすく効果的です。
2~3日すると虫が死滅するため、コンポスト容器に戻せばこれまで通りに使用できます。
※天日干しで長期間放置すると、微生物も死滅する可能性があるので、置き過ぎには注意しましょう。

米ぬか・発酵促進剤をいれる

米ぬか・発酵促進剤を入れコンポスト内を高温に保つことで、虫を死滅させます。
コンポストは発酵が進むと温度が約60℃くらいまで上昇するため、その状態を保つことで虫を死滅させることができ、かつ生ゴミの分解も進むので一石二鳥です。
米ぬか・発酵促進剤を振りかけ、その上から土をかぶせるだけです。
コンポストの中の水分が多いようであれば、乾いた土や基材を入れて、湿度を調整しましょう。

そのまま放置する

ウジ虫は、害中だと思われる方もいるかもしれませんが、実は生ゴミの分解・発酵を手伝ってくれ、堆肥化は促進されているのです。
生ゴミの投入を止めると栄養がなくなり死滅するので、しばらく生ゴミを入れずに放置するという方法もあります。

悪臭がある場合の対処法

よくかき混ぜる

空気が足りないと、悪臭が発生しやすくなります。コンポストの底からよくかき混ぜましょう。

米ぬかや基材を追加する

生ゴミの量が多い場合や水分量が多すぎる場合は、分解・発酵が上手く進んでおらず臭いが発生している可能性もあります。米ぬかや基材を追加してみましょう。

コーヒーかす(1杯~2杯分)を入れる

コーヒーかすには消臭効果があると言われています。乾燥させたコーヒーかすをコンポストにいれ、よくかき混ぜてみるという方法もあります。

肉、魚、卵などのたんぱく質の投入を控え、米ぬかを加える

たんぱく質の投入が多いと、臭いが発生しやすくなります。肉、魚、卵の投入を少なくし、米ぬかを加えて発酵を促進しましょう。

その他のトラブル対処法

その他にも代表的なトラブル対応方法について、ご紹介します。

生ゴミが分解されず、温度も上がりません

次のいずれかの方法を試し、様子を見てください。
・コップ1杯程度の米ぬかを入れる
・コンポストの底からよくかき混ぜる
・使用済みてんぷら油100ミリリットル程度を入れる(油を入れすぎると臭いが出るので注意)

白カビが発生してしまった

白カビが発生しても問題ありません。生ゴミと一緒によく混ぜてください。

白い粉っぽいもの(コナダニ)が発生した

湿ったままの状態が長時間続くと「コナダニ」と呼ばれる白っぽい粉のようなダニが発生することがあり、これは人間には無害とされますが、まれにアレルギー症状を引き起こすことがあります。コンポストの温度が上昇するといなくなるので、微生物の働きを活性化させるために水分と米ぬかを加え、よく混ぜください。

数日家を空けるため、コンポストの手入れができない

長期間家を空ける場合には、雨の当たらない風通しの良い場所にコンポストを置いておきましょう。コンポストは少しずつ温度が下がり、休眠状態になります。
再開するときは基材をよくかき混ぜてから生ゴミを加えます。基材が乾燥していたら、米ぬかや水を加え、水分量を調整しましょう。

 

まとめ

スコップと堆肥

いかがでしたでしょうか。コンポストは家庭から出る生ゴミも減り、環境にも優しい一石二鳥の取り組みです。
興味関心やライフスタイルに合わせて、まずはお試しでコンポストをDIYしてみませんか?

 

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<ライタープロフィール>
山本 楓子
神戸大学大学院 農学研究科修了、農業土木分野専攻。祖父母が青森でりんご農家を営んでいることから、農業や地域振興に関心があり、学生時代は東北や四国などのエリアに出向き、現地法人にてインターンシップを経験する。新卒で大手人材会社(東証一部上場)で人材紹介の法人営業・キャリアアドバイザーを1年半従事。その後、現在は宮城県の丸森町へIターン移住しており、丸森町の地域おこし協力隊として、地域の6次化等に携わる。


これまで出会った生産者さんの想いに感銘したことや、おじいちゃん・おばあちゃんのりんご畑の風景を残したいという想いから、現在はそれらの魅力を伝えるために、カメラマン兼ライターとして執筆・発信活動をしています。
また、季節の食材で漬物をつけたり、自然や四季を感じながら毎日を丁寧に過ごすおばあちゃんの生活が好きで、自分自身もそんな暮らしをしたいなと思っています。

 

 

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